【連載】(4)ネットの勇者がリアルで勇者になる話
本日は勇者シリーズ
前回のライト・ライトノベルの続きになります
引きこもりのドラクエ10プレイヤーが
ドラクエ内での出来事で「気づき」を得て
リアルの世界に羽ばたいていく物語です
※この物語はフィクションです
■ 前回の話 9〜12
■ 13:罪と罰
アーシェをフレンドから切ったことは
この先ずっと言われる事になる
僕はアーシェから
3つの約束をする事を条件に
フレンドの復活を許された
僕は待っててくれてた嬉しさに
そしてその健気さに僕は頑張ろうと誓った
4時間も僕を待ってくれていた事を
僕はアーシェの健気さと受け取っていた
客観的に見たら僕こそ健気だった
でも…
「どうしてここまで良くしてくれるんだろう」と
少し疑問に思った
アーシェをフレンドから消して復活する為に
アーシェから提示された条件はこうだった
1)今度は逃げない事(フレンドを消さない含む)
2)病院で治療を受ける事
3)何かしたら罰を受ける事
僕は3つめのの「罰」が心配で仕方がなかった
きっとひどい事をされるんだろうと思っていた
今回のフレンド切りに対して
提示された罰は選択式だった
A.罰金500万Gを払う
B.2週間遊ばない
C.やっぱりフレンドを切る
今思えば僕は
「マジシャンズセレクト」を受けていた
マジシャンズセレクトとは
自分の意思で選んでいるつもりが
すでにマジシャンの言葉巧みな術中にはまり
実は選ばされていること
僕は自らの意思でAを選択して
500万Gを払う事にした
これこそマジシャンズセレクトの結果だった
ベテランプレイヤーの僕にとって
たった500万ゴールドなど
1日あれば稼げる額だった
アーシェと二週間会えないとかはありえないし
もはやフレンド解除なんてありえなかった
…僕は若かった
こんな3択ありえないし
今の僕ならD案を提案したり
きっと交渉したりしただろう
この時の僕は実直だったし
アーシェの気を引き留めておきたくて必死だった
自分が勢いでしたフレンド切りを
激しく後悔していた負い目もあったんだと思う
僕はアーシェに500万Gを支払った
アーシェは少し困惑していた
正解はBだったのか?と悩んだが
これもアーシェの術中だった
■ 14:アーシェからの相談
アーシェはバトルが苦手だった
下手ではないと思うが
僧侶用の立派な装備とは不釣り合いな腕前だった
そして興味が無いのか節約なのか
僧侶以外の装備は本当に貧しい装備で
何世代前なんだろと思うものもあった
そんなアーシェが
僕に装備の相談をしてきた
アーシェ
「わたしバトルマスターの装備を揃えたくて
どんな装備に
どんな効果が
錬金されているといいか教えて?」
アーシェの相談は
ずっと使えるバトルマスター装備についてだった
僕の得意分野だったのでドヤ顔で説明していた
フレンドを消してしまったあの一件以来
僕の立場はめっきりアーシェの下に
なってしまっていたので
この相談について熱弁をふるっていた
アーシェは僕の説明に納得して
時折メモを取っていた
その理由についても何度も聞いてくるので
本当になにも知らないんだなと思った
そういえば僧侶以外の姿を見たことがない
色々と教えてやることで
僕の立場の復権があるかもしれないなと
早く装備を揃えろよと思っていた
■ 15:安物の装備
今日は2人で白箱をしようと言う事になった
アーシェは珍しくバトルマスターで来た
長くやってるからか
レベルだけは高い
アーシェは特訓をまだやってなかったらしく
白箱をしながら
特訓ポイント上げをするつもりみたいだった
僕はこっそり装備をみた
この前教えてやった通りの防具に
必要最低限の錬金が付いていた
星3を買えと言ったのに
きちんと買ってない部分もあり
こんな安物しか買えないのかと
せっかく教えてやったのになと
僕は少し不満だった
この前罰金として払った500万Gで
少しはちゃんと買えよと思ったが
言うのはやめておいた
きっと本気で前衛をやる気はないのだろうと
防具も見なかった事にした
この子はケチなんだろうか…
僧侶装備の立派さとのギャップに
よくわからなくなった
■ 16:会心の一撃
僕は誕生日の日もドラクエ10の世界にいた
夏の暑い時期に誕生日を迎える僕は
アイスクリームのケーキが大好物だった
一人で大半を食べ終えた僕は
いつものように
ドラクエ10の世界にログインした
僕の家の前にアーシェがいた
アーシェ
「お誕生日おめでとう!これあげるから」
…と取引ウィンドウを出してきた
僕はそういえば
何座なの?というアーシェの質問から
自身の誕生日を教えていた事を思い出した
何をくれるんだろうと
取引ウィンドウをみていた
そこには僕がサブで欲しいなと説明の時に語った
バトルマスター装備の一式が
全て星3で
しかも完璧な錬金で入っていたのだった
防具の制作も錬金も全てアーシェがしていた
全てアーシェのネームド装備一式だった
この一式はとても500万Gでは買えない
とても手間もお金もかかっていそうだ…
僕は全てを理解した
アーシェはバトルマスターに
興味があったのではなく
僕が以前サブに一式買おうかなと呟いたのを
アーシェは覚えていたんだ…
そしてその錬金を僕から聞き出し
この日の為に揃えていたんだと…
アーシェがあの日着てきた装備は
これを作った時の失敗品をわざと着て
僕を欺くための芝居だったと気がついた
僕の心はアーシェに射抜かれていた
そして僕は彼女に夢中になっていた
「でも…なぜこんなに良くしてくれるのだろう?」
そう思う僕の疑問は
嬉しくて舞い上がる自分自身が
かき消していた
アーシェはここで
僕の精神支配を完了させていたんだと
僕は後で気がつくことになる
続く…
■ 今回のアーシェの教え
-モノの価値-
モノの価値は価格の高さだけではない
苦労して手作りされたネームド装備
ドラクエ10では防具などを生産した
生産者の名前が装備に残ります
自分の銘で作られた装備を
ここではネームド装備と呼んでいます
この時のアーシェも
何度も何度も練習して
何個も失敗して出来たものを
僕にプレゼントしてくれたとわかった
相手との関係性の強さにもよるが
アーシェの事を好きになっていた僕にとって
ゴールドでは買えない価値のある宝物となった
今回のフレンド切りの一件で
僕を叱責しすぎたかもと
アーシェなりの
僕へのお詫びの気持ちという部分も
あったのかもしれない…
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